咬む力のコントロールは、とても重要です。 咬む力が異常に強いと、歯周病が悪化します。 例えば、元々歯ぎしり・食いしばりが強い。奥歯が何本も抜けているのを放置、それによって、手前の歯に力がかかりすぎている。 が挙げられます。 力がかかりすぎるとどうなるのか? 歯がかけてしまったり、折れてしまったり。 歯がグラグラしてきてしまったり。 詰め物が欠けてしまったり、外れてしまったり。 顎関節症になってしまったり。 良いことがありません。 最悪は抜歯です。 力をコントロールし、歯を守っていきましょう。 対策を、それぞれの観点から述べます。 ①歯が欠ける・折れる を防ぎたい。 ・「歯ぎしり・食いしばりは寝ている時にしか起こらない」といった意識を変える。 歯ぎしり・食いしばりは、日中でも気付かない内にしていることが往々にしてあります。 何気なく、スマホを見ている時、テレビを見ている時、デスクワークをしているとき、スポーツをしている時。 れっきとした病名もあります(歯列接触癖TCH=Tooth Contacting Habit)。 これは、食事など歯が本来の機能をすべき時以外にも、上下の歯が咬みあってしまっている癖のことです。 ご自身ではなかなか気付きませんが、歯がすり減っていたり、入れた銀歯がツヤツヤにすり減ってい る場合はその可能性があります。 …続きを読む
2018年6月6日
一般の方にはあまり聞きなれないかもしれない「歯科衛生士」。 「歯石のお掃除をしてくれる女性」というイメージでしょうか? 太田貴司個人としては、「歯科医師よりすごいのでは?」と思っています。 歯科医師と歯科衛生士の違いは、「治す」歯科医師と「守る」衛生士です。 歯科医師は、与えられた仕事上、どうしても「減らす」仕事です。 例えば、「削る」「抜く」です。 その患者様のため、その歯のため、を思ってのことですが、「減らす」仕事です。 感謝されますが、「減らした」ものは戻ってくることはありません。 それに対して、歯科衛生士は、「減らさない」仕事です。 歯石の除去をして、歯周病から「守る」。 ブラッシング指導をして、むし歯から「守る」。 現状維持をしようとする仕事です。 歯科衛生士は、歯科医師の仕事のように「何かを変化させる」仕事ではありません。 例えば、歯科医師がむし歯を削って白い詰め物をしてもらう。 これは綺麗になるので、素人目からしても分かりやすいです。 その場で感謝されます。 「治療してもらってありがとうございます。」「きれいな詰め物をしてもらってありがとうございます。」と。 歯科衛生士は、何か大きく変化させる仕事ではありません。 (大きな歯石を取ってもらう以外は。) そのため、感謝されにくい仕事ではあります。 何も変わっておらず、現状維持だからです。 しかし、歯が長持ちするのはどちら …続きを読む
2018年5月30日
「銀歯はどうしたらいいのですか?」 先週の続きです。 「今、すでに入っている銀歯は外した方が良いのですか?」 「痛くなった時に外したら良いのですか?」 「どうしたらいいのですか?」 よく聞かれます。 「今、すでに入っている銀歯は外した方が良いのですか?」への回答(太田貴司個人としての) →①「ご心配であれば外してもいいでしょう」とお伝えしています。 私も含め、歯科医師は銀歯の下のむし歯、その怖さを知っています。 ご心配であれば外しましょう。 外して初めて分かるむし歯も少なくありません。 ②「定期健診で経過を追いましょう」とお伝えすることもあります。 見た目では全く分かりません。 レントゲンを撮影することが重要です。 そのレントゲンを時系列で追っていきます。 ③「今すぐに全部外さなくても良いかもしれません」とお伝えすることもあります。 こうお伝えする方は、よくブラッシングをされていて、生活習慣も整っている方です。 「痛くなった時に外したら良いのですか?」 このご質問も頂きます。 答えは「No」です。 歯以外のお身体もそうですが、痛くなった時は手遅れのこともあります。 痛くなってからでは遅いです。 特に歯は痛くなってからですと、抜歯や抜髄(神経を取る)の可能性があり、痛くなってからでは遅いです。 ぜひ痛くなる前に定期健診を続けましょう。 つまり、いかにも …続きを読む
2018年5月23日
滋賀県守山市古高町にある歯医者、おおた歯科こども歯科の院長 歯科医師の太田貴司です。 予防・痛くなる前の治療や、矯正治療に力を入れています。 「銀歯の下のむし歯が心配です。銀歯の下にむし歯はありませんか?」 レントゲンを撮影した後、患者さんから言われます。 その時、私はこうお伝えします。 「明らかに大きなむし歯であれば分かります。しかしレントゲンを撮っても、銀歯の下のむし歯は100%は分かりません。銀歯を外して初めて分かるむし歯もあります。不意にポロっと銀歯が外れて、その時初めて分かるむし歯もあります。」 銀歯には、インレーとクラウンがあります。 インレーは、部分的に「詰める」もの。 クラウンは、上から完全に「被せる」もの。 です。 インレーでもクラウンでも、銀歯であれば、むし歯になりやすいですし、見付けにくさは変わりません。 逃げているわけではないのですが、銀歯の下のむし歯は本当に分かりません。 「見逃してしまった」「見逃された」ではありません。 見えないのです。 当院では、1年ごとにレントゲンを撮影しています。 数年後のレントゲンで、「ここの銀歯の下にむし歯がありました」と分かることがあります。 1年ごとのレントゲンを比較して、やっと分かるのです。 正確に言い直すと、 「明らかに大きなむし歯は分かります。 レントゲンを撮っても、銀歯の下のむし歯は1枚 …続きを読む
2018年5月16日
今回は、縁あっておおた歯科こども歯科に入社してくれた新人についての取り組みをご紹介します。 新人は、新卒であろうと既卒であろうと、年齢問わずおおた歯科こども歯科のシステムを知りません。 そのため、他のスタッフよりも早くに入社してもらい、院長と勉強をします。 具体的には。。。 ①8:00に出勤してもらいます(通常は8:30の出勤です) ②朝の勉強会は約1か月間です。 今までの新人へのカリキュラムをさかのぼると、衛生士は約2週間、歯科助手は約3週間でまとまることが多いです。 ③朝の勉強会は、院長とマンツーマンです。 院長が愛情を持って、勉強に付き合います。 ④内容は、あり方とやり方です。 あり方とやり方、どちらも重要です。 なぜその仕事が必要なのか、必要だと知ったらその仕事をどのようにするのか。 前者が「あり方」、後者が「やり方」です。 我々は何のために働くのか。 給料は、結果です。目的ではありません。お金のために働くのではありません。 我々は医療人です。一生懸命、来院された方に歯科医療をほどこし、それがスタッフへの給料につながるのです。 ボランティアでも、バイトでもありません。我々はプロです。 あり方を伝えたら、当院のシステムでどのように来院された方に貢献するのか。 そのやり方を知らないと、頭でっかちになります。 例えれば、座学と実技でしょうか。 両輪が必要です。 そして、院長だけで …続きを読む
2018年5月9日
「歯を抜かないといけません」 歯科医院で言われたくない言葉ですよね。 実は、言う方も嫌なのですよ。 なぜなら、良い反応があるわけがないからです。 「歯を抜かなければいけません」とお伝えして、 「ありがとうございます。嬉しいです。」なんて言われるわけがないからです。 みなさん、顔が曇ったり、「え?」と言われたり、「嫌です」なんて言われることもあります。 それはそうですよね。 歯を残すために通院するわけですから。 こちらも言いたくないフレーズの一つなのですよ。 我々も歯を残すために歯科医師をやっているわけですので。 でも、それを乗り越えないといけない時がある。 抜かないといけない時がある。 その患者様のため、その歯のため、隣の歯のため、今後の治療方針のため。 抜歯をお伝えして、歯を抜いてもらうか、抜かずに経過観察かはお任せですが。 【歯を抜かなければいけないとき、抜いた方がいいとき】 ①横向きに親知らずが生えていて、手前の歯に悪さをしているとき 手前の歯(第二大臼歯)にすでにむし歯・歯周病がある。 今後、親知らず・第二大臼歯ともにむし歯・歯周病のリスクが高い。 親知らずを抜かないと、第二大臼歯の治療がきちんとできない場合。 親知らずが押して、歯並びがデコボコしている(→この場合、親知らずを抜いても歯並びが元に戻ることはありません) ②むし歯でボロボロになっている 歯 …続きを読む
2018年5月2日
滋賀県守山市古高町にある歯医者、おおた歯科こども歯科の院長 歯科医師の太田貴司です。 予防・痛くなる前の治療に力を入れています。 毎日使っている歯ブラシ、最後に交換したのはいつですか? うっかり何ヶ月も使っていませんか? まだまだ磨けるし、使える! 確かに、使えるは使えるはずです。 しかし、使えていても、肝心の汚れが取れていなければせっかくの歯磨きも台無しです。 ちゃんと、歯ブラシが取り換えのサインを出してくれています。 【古くなった歯ブラシのサイン】 ①毛先が開いている ②弾力がなくなっている ③臭ったり、着色している その歯ブラシでは汚れが取れていないか、汚れを取るのに時間がかかります。 歯磨きで重要なこと。 それは当たり前ですが、「汚れを取ること」です。 「歯を磨くこと」が目的になってはいけません。 目的は、「汚れを取ること」です。 言い方がわるくなってしまうかもしれませんが、汚れが取れていれば何でも良いのです。 しかし、現在の技術では汚れを取る手段が「歯磨き」しかないのです。 「リステリン」といったうがい薬(マウスウォッシュ)も効果的です。 消毒薬が入っていて、一定の効果があります。 ただ、あくまでも補助です。 歯磨き「前」のマウスウォッシュか、歯磨き「後」のマウスウォッシュかは、ご自身の判断やメーカーの指定によります。 前にしろ後にしろ、歯磨きを怠ってはいけ …続きを読む
2018年4月25日
かなり多くの方が疑問に思われることです。 電動歯ブラシは、CMでも素晴らしい商品のように宣伝しています。 高価で、細かく四方八方に動き、どんな小さな汚れも取れる。 これは、むし歯になりにくそうですよね。 でも、電動歯ブラシだけで全ての問題が解決するのでしょうか? 普通の歯ブラシでも、しっかり予防できている人はいるのではないでしょうか? 電動歯ブラシの人は歯が残っていて、普通の歯ブラシの人は歯が残っていないのでしょうか? そんな格差、あまり聞いたことがありませんよね。 電動歯ブラシのルーツ。 それは、もともと手が不自由でうまく歯磨きができない方に開発されたものなのです。 脳梗塞や、脳卒中などが原因です。 なので、自分の意志で自由に手が動かせ、自由に歯ブラシで歯磨きができる人にとっては、絶対に必要なものではないのです。 確かに、複雑な動きをして、細かいところまで汚れを掻き出してくれそうです。 しかし、重要なことは「当てるべきところにキチンと当たっているかどうか」です。 普通の歯ブラシ VS 電動歯ブラシ ではないのです。 100円の歯ブラシで当てるべきところにしっかり当たっていて、汚れを取りきっている VS 数万円もする電動歯ブラシで適当に当てている では前者が勝ります。 前者の方が、むし歯の予防・歯周病の予防もできているはずです。 なので、「○○社の最高級電動歯ブラシ」よりも、「当 …続きを読む
2018年4月4日
癒合歯(ゆごうし)と呼びます。 本来、独立して生えてくるはずだった2本の歯が、くっついて生えてきてしまったものを言います。 乳歯の前歯に多く見られ、それほど珍しいものではありません。 下の前歯(乳歯)の1番目と2番目、下の前歯(乳歯)の2番目と3番目がくっついてしまった癒合歯がほとんどです。 上の乳歯同士がくっついてしまった癒合歯も見られます。 永久歯では、ほとんど見られません。 乳歯が癒合歯だったので、永久歯も癒合歯ということも、ほぼほぼありません。 癒合歯は、独立した歯がまず生えてきて、お口の中で後からくっついてしまったわけではありません。 お母さんのおなかにいる時に、歯と歯の卵の時点でくっついてしまったと考えられますが、なぜくっついてしまったのかは分かりません。 たまたま、起こってしまったと考えられ、何が悪かったわけでもありません。 お母様が悪かったわけではないですし、お子様も悪かったわけでもありません。 本当に「たまたま」なのです。 【将来起こりえること】 ①癒合歯の下に控えている大人の歯(永久歯)が1本足りないことが多い これも何が悪かったわけではありません。 乳歯に癒合歯があると、永久歯の2番目の歯(側切歯)が生まれつき存在しないことが多いです。 約50%とされていますが、個人的に臨床現場ではもっと多いイメージです。 レントゲンで確定できます。 4歳でレ …続きを読む
2018年3月28日
全国に歯科医師は何人いるの? 日本全国に、歯科医師は103,972人います(2014年12月31日の時点で。日本歯科医師会より)。 男女比は、男性80,544人、女性23,428人で77:23です。 歯科“医院”自体は、69,409医院あります(2016年5月時点)。 69,409医院あっても、歯科医院の規模は本当に様々です。 一番多い規模の歯科医院は、「歯科医師が1人で診療台が2台・3台」の医院です。 この規模が半数近くを占めます。 対して、一件の歯科医院に歯科医師が10人以上在籍し、診療台が15台以上ある医院もあります。 2階建ての歯科医院もあります。 分院を展開し、数件の歯科医院を経営している先生もいらっしゃいます。 この辺は、院長先生の考え方や、地域の需要にも左右されます。 大きく事業を展開して、できるだけ多くの方を救いたい先生。 全国レベルの知識と技術で、1日4~5名に絞って、お一人1~2時間をかけて、じっくり治療したい先生。 どちらも正解です。その先生が理想とする開業を実践している限り、理想の職業です。 さて、歯科で頻繁に挙がる疑問があります。 それは「歯科医院はコンビニエンスストアより多いの?」です。 実際のところはどうなのでしょうか。 答えは、「Yes」です。 コンビニエンスストアは、50,743店です。(歯科医院は、69,40 …続きを読む
2018年3月21日