今までは、「奥歯で型を採る治療」となると保険治療では銀歯しか選択肢がありませんでした。
しかし、銀歯は目立ちます。
敬遠されることも少なくないです。
2014年、保険治療において歴史的な転機が訪れました。
「歯科用CADCAMシステムを用いたハイブリッドレジンによる歯冠補綴」が保険治療に組み込まれました!!!
キャドカムと呼びます。
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一般の方は、丸っきり意味が分からないと思います。
簡単に言うと、「保険治療で白い歯が手に入る」ということです。
条件があり、何でもかんでも白い歯というわけではないのですが、これまでの方針が大きく変わりました。
すごい時代になったと思います。
CADCAMシステムとは、機械で白いブロックから削りだして歯をつくること。
従来は、歯科技工士さんが手作業でつくっていました。
ハイブリッドとは、「混ぜ合わさったもの」。
ハイブリッド自動車は、ガソリンと電気の両方で動く車。
歯科のハイブリッド冠とは、セラミックス(陶器)とレジン(歯科の治療で使われる樹脂)を混ぜ合わせてつくる被せ物のこと。
歯は親知らずを除くと、前から数えて1番目から7番目まであります。
1~3番は昔から保険治療で白い歯ができました。
2014年の4月から、4、5番目にも保険治療でCADCAM冠を入れられるようになっています。
そして2017年の12月から、下の6番目にも保険治療でCADCAM冠が入れられるようになりました。(ただし、上下左右の7番目があることが条件です)
ここ数年で、歯科の歴史が大きく動きます。
保険で白い歯が入れられることは、患者さんとって大きなメリットがあります。
しかし、欠点もあります。
「保険外治療の白い歯(100%セラミックやジルコニア)に比べ、割れやすい・外れやすい」ということです。
CADCAM冠が向かない歯
・元々の歯が薄い
・CADCAM冠を入れると、痛くなりそうな歯(CADCAM冠が割れやすいという欠点を補うため、歯を大きく削ります。大きく削ると治療後、痛くなったりしみたりする恐れがあります)
・歯ぎしり、食いしばりがある
・部分的な歯には入れられません(上から丸々被せる、いわゆるクラウンにのみCADCAM冠ができます。部分的な詰め物であるインレーにはできません)
があります。
CADCAM冠自体がトラブルを起こすことは人工物なので、避けられない部分はあります。
しかし保険で安く白い歯を入れたいがために、歯を大きく削り結果痛くなったら、元も子もありません。
「それだったら銀歯の方が良かった」となりかねません。
何でもかんでもCADCAM冠が良いというわけではありません。
いつも慎重に説明し、治療をしています。
それでも入れると喜ばれるので、日常的にはCADCAM冠を扱ってはいますよ。
2018年6月27日