滋賀県守山市古高町にある歯医者、おおた歯科こども歯科の院長、歯科医師の太田貴司です。
当院では、予防・痛くなる前の治療・歯周病の治療に力を入れております。
今回は、「生まれつき永久歯がないために、ずっと残っている乳歯を抜歯するメリットとデメリット」について、ご説明いたします。
僕もいつも悩みどころで、大切なお口の健康に関わるテーマですので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.生まれつき永久歯がないとは?
2.乳歯を残すことのメリット
3.乳歯を抜くことのメリット
4.乳歯を抜くことのデメリット
5.乳歯を抜く判断基準
6.乳歯の抜歯後の治療方法
7.まとめ
1. 生まれつき永久歯がないとは?
生まれつき永久歯がない状態は「先天性欠如(せんてんせいけつじょ)」と呼ばれます。
これは、遺伝や発育の過程で永久歯の芽が形成されないことによって起こります。日本人の約5〜10%の方が先天性欠如を持つと言われており、特に小臼歯(しょうきゅうし)や前歯に見られることが多いです。
先天性欠如がある場合、乳歯が永久歯の代わりとして残り続けることがあります。その乳歯をどうするかは、患者さまの年齢や口腔内の状態によって異なります。
2. 乳歯を残すことのメリット
永久歯が欠如している場合、乳歯を残すことには以下のようなメリットがあります。
・咬合(こうごう:噛み合わせ)の維持
乳歯があることで、噛み合わせが維持され、他の歯が動くのを防ぐ役割を果たします。
・審美性(しんびせい:見た目)の向上
前歯の乳歯を残すことで、笑ったときの見た目が自然になります。
・経済的負担の軽減
特に治療を必要としない場合、乳歯を残すことで次の治療も含めた治療費が抑えられます。
しかし、乳歯は永久歯に比べて耐久性が低いため、注意が必要です。
3. 乳歯を抜くことのメリット
一方で、乳歯を抜くことにもメリットがあります。
・健康な周囲の歯への影響を防ぐ
乳歯は寿命が短く、虫歯や歯周病になりやすいです。早めに抜歯することで、周囲の健康な歯への影響を防ぐことができます。
・治療計画の自由度が高まる
乳歯を抜くことで、インプラントやブリッジといった治療を行いやすくなります。
・長期的な安定性の確保
長期的な視点で見ると、乳歯を抜いて適切な治療を行うことで、噛み合わせや見た目の安定を図ることができます。
4. 乳歯を抜くことのデメリット
乳歯の抜歯にはデメリットもあります。
・治療費の負担が増える
抜歯後にインプラントやブリッジなどの治療を行う場合、治療費が高くなることがあります。
・治療期間が長くなる
抜歯後の治療には時間がかかることがあり、患者さまにとって負担になることがあります。
・心理的負担
特に10~20代の方の場合、抜歯そのものが恐怖や不安の原因となることがあります。
5. 乳歯を抜く判断基準
乳歯を抜くかどうかは、以下のポイントを考慮して判断します。
・乳歯の状態
むし歯や歯周病が進行している場合、抜歯を検討することがあります。
・周囲の歯への影響
乳歯が残ることで周囲の歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼす場合、抜歯が必要になることがあります。
・患者さまの年齢と治療方針
お子さまの成長段階や大人の噛み合わせの状態に応じて、最適な治療方法を選択します。
6. 乳歯の抜歯後の治療方法
乳歯を抜歯した後には、いくつかの治療方法があります。
・インプラント
人工の歯根を顎の骨に埋め込む治療で、見た目も自然で長持ちします。
・ブリッジ
隣の歯を支えにして人工の歯を入れる治療方法です。
・入れ歯
取り外しが可能な人工歯で、費用が比較的安価ですが、慣れるまでに時間がかかることがあります。
患者さまの状態やご希望に合わせて、最適な治療を選択します。
・ダイレクトボンディング
詰め物によって歯の形を作ります
7. まとめ
生まれつき永久歯がない場合の乳歯の扱いについて、メリットとデメリットを理解することは、患者さまご自身やご家族の健康を守るために大切です。
ぜひ参考になれば幸いです。
おおた歯科こども歯科 院長 太田貴司 https://ohta-dent.com/staff.html#intyo
2025年7月21日