滋賀県守山市古高町にある歯医者、おおた歯科こども歯科の院長 歯科医師の太田貴司です。 予防・痛くなる前の治療・歯周病の治療に力を入れています。
「ご飯を食べ始めてから1時間近くかかることがある。」
「途中で遊び始めてしまい、なかなか食事が終わらない。」
「いつまでも口の中に食べ物が残っている。」
このようなお悩みをお持ちの親御さんは少なくありません。
毎日の食事のたびに声をかけ続けると、お子様も親御さんも疲れてしまいますよね。
しかし、食事に時間がかかる理由は、「食べるのが遅い性格」だけではないことがあります。
実は、お口の機能や食事の環境が関係している場合も少なくありません。
小児期は「食べる力」を育てる大切な時期です。
毎日の食事は、お腹を満たすだけではなく、お口の筋肉や舌の使い方、咬む力を育てる貴重な時間でもあります。
今回は、お子様の食事に時間がかかる原因と、ご家庭で今日からできる対策についてご紹介します。
目次
- 食事に時間がかかるのは珍しいことではありません
- 食事に時間がかかる主な原因
- ご家庭でできる6つの改善方法
- 咬む力を育てるおすすめの食材
- 「30回咬む」を家族で楽しむ工夫
- 大切なのは叱ることではなく成長を応援すること
食事に時間がかかるのは珍しいことではありません
「うちの子だけではないでしょうか。」
診療中によくいただくご相談です。
実際には、多くのお子様が食事に時間がかかることで悩まれています。
もちろん、食べるスピードには個人差があります。
ゆっくり食べること自体は悪いことではありません。
しかし、
・食事が毎回1時間近くかかる
・途中で何度も席を立つ
・ほとんど咬まずに飲み込む
・口の中に食べ物をため込んでしまう
このような状態が続く場合は、一度食事の環境やお口の機能を見直してみることをおすすめします。
食事に時間がかかる主な原因
食事環境が集中しにくい
テレビを見ながら食事をしたり、おもちゃが近くにあったりすると、お子様の注意は食事以外へ向いてしまいます。
一口食べて遊び、一口食べてテレビを見る。
これでは食事時間が長くなってしまいます。
食事は「食べる時間」としてメリハリをつけることが大切です。
咬む力がまだ十分育っていない
最近は柔らかい食べ物が増えています。
便利で食べやすい反面、お口の筋肉を使う機会が少なくなることがあります。
咬む力が弱いと、
一口を飲み込むまでに時間がかかったり、疲れてしまったりすることがあります。
お口の筋肉は運動と同じです。
毎日少しずつ使うことで育っていきます。
ご家庭でできる6つの改善方法
① テレビを消して食事に集中する
食事中はテレビを消してみましょう。
ご家族との会話を楽しみながら食べることで、自然と食事への集中力が高まります。
「今日は幼稚園で何が楽しかった?」
そんな何気ない会話も、お子様にとって楽しい食事時間になります。
② おもちゃを片付ける
目に入る場所におもちゃがあると、どうしても遊びたくなります。
食事の前だけでも、おもちゃを見えない場所へ移動してみましょう。
食事に集中しやすい環境作りが大切です。
③ 一口の量を少なくする
大きな一口は咬む回数が少なくなったり、飲み込みにくくなったりします。
まずは小さめの一口を意識してみましょう。
小さい一口はしっかり咬みやすく、お口の使い方も身につきやすくなります。
④ 食事時間は30分を目安にする
食事が長くなり過ぎると、お子様も集中力が切れてしまいます。
目安として30分程度を意識してみましょう。
もちろん、その日に食欲がないこともあります。
無理に食べさせる必要はありません。
毎日少しずつリズムを整えていくことが大切です。
⑤ 咬む力を育てる食材を取り入れる
咬む力は毎日の食事で育ちます。
柔らかいものばかりではなく、いろいろな食感を経験することが大切です。
シャキシャキした食感
例えば、
・きゅうり
・れんこん
などです。
自然と咬む回数が増えます。
ほぐれる食感
焼き魚などは、舌や唇を上手に使う練習になります。
弾力のある食感
きのこやこんにゃくは、お口全体を使って咬む練習になります。
繊維のある食感
葉物野菜や切り干し大根もおすすめです。
食べ物を細かくするために、お口の筋肉をしっかり使います。
いろいろな食感を組み合わせることで、お口の機能はさらに育っていきます。
⑥ 姿勢を整える
意外と見落としやすいのが姿勢です。
足がぶらぶらしていると、体が安定しません。
すると、お口にも力が入りにくくなります。
食事中は、
・足の裏が床につく
・背筋を軽く伸ばす
・テーブルの高さが合っている
この3つを意識してみましょう。
小さなお子様は足台を使うのもおすすめです。
体が安定すると、しっかり咬みやすくなります。
咬む力を育てるおすすめの食材
咬む力は筋肉です。
毎日の食事がトレーニングになります。
当院では、咀嚼回数(そしゃくかいすう・食べ物を咬む回数)のランク表もご紹介しています。
理想はランク5以上の食材を取り入れることですが、一気に変える必要はありません。
お子様の成長に合わせて少しずつレベルアップしていきましょう。
「昨日より少しだけ咬めた。」
その積み重ねが大きな成長になります。
「一口30回」を家族みんなで楽しんでみましょう
「30回咬もうね。」
最初は難しく感じるかもしれません。
そんな時はゲーム感覚がおすすめです。
家族みんなで数えながら食べるだけでも、お子様は楽しんで取り組めます。
親御さんも一緒にチャレンジすると、お子様は真似をしてくれます。
咬む回数が増えることで、
・食べ物を細かくできる
・唾液がたくさん出る
・満腹感を感じやすくなる
などの良い効果も期待できます。
また、唾液にはお口を守る働きがあるため、むし歯予防にも役立ちます。
大切なのは「早く食べて」ではなく「上手に食べられたね」
親御さんは毎日忙しい中で食事を準備しています。
だからこそ、「早く食べて。」と言いたくなることもあります。
そのお気持ちはよく分かります。
しかし、お子様は叱られることで食事が嫌いになってしまうことがあります。
大切なのは、
「今日は最後まで座れたね。」「しっかり咬めたね。」「30回できたね。」
と、小さな成功をたくさん褒めてあげることです。
お口の機能は一日で育つものではありません。
毎日の積み重ねが、お子様の一生のお口の健康につながります。
おおた歯科こども歯科 院長 太田貴司
(自己紹介)https://ohta-dent.com/staff.html#intyo
2026年7月15日











