滋賀県守山市古高町にある歯医者、おおた歯科こども歯科の院長 歯科医師の太田貴司です。
予防・痛くなる前の治療・歯周病の治療に力を入れています。
むし歯予防の第一選択かもしれないくらいの効果がある「フッ素」。
フッ素の使い方は、洗口液・歯磨き剤・歯科医院での塗布があります。
今回は、歯科医院での塗布にフォーカスを当てます。
歯科医院での塗布に使うフッ素は、濃度が高いです。9000ppmです。
このブログは、「歯科医院の高濃度フッ素(9000ppm)は毎日塗布してもいいのか?メリット・デメリットについて」お伝えします。
目次
1.高濃度フッ素(9000ppm)とは?
2.フッ素塗布の目的と効果
3.高濃度フッ素を毎日塗布してもいいのか?
4.毎日塗布するメリット
5.毎日塗布するデメリット
6.フッ素の正しい活用方法
7.まとめ
1. 高濃度フッ素(9000ppm)とは?
フッ素は、「フッ化ナトリウム」としてむし歯予防に有効な成分として広く使われています。
市販の歯磨き粉に含まれるフッ素濃度は、1000ppm~1500ppmです。
歯科医院で使用されるフッ素は、9000ppmと濃度が高いです。
このフッ素は、歯の表面に塗布することでエナメル質(えなめるしつ)を強化し、むし歯の発生を抑える役割を果たします。
2. フッ素塗布の目的と効果
フッ素には、以下のようなむし歯予防効果があります。
✅ 歯の再石灰化(さいせっかいか)を促進する
✅ 歯質を強化し、酸に溶けにくくする
✅ むし歯菌の働きを抑制する
特に、高濃度フッ素は即効性が高く、短時間で歯を強化できるのが特徴です。
そのため、毎日の歯磨き剤・洗口剤でフッ素を使いつつ、歯科医院でも高濃度のフッ素を塗布するのが効果的です。
3. 高濃度フッ素を毎日塗布してもいいのか?
結論から言うと、歯科医院での高濃度フッ素(9000ppm)は毎日塗布するべきではありません。
高濃度のフッ素は、歯科医院で専門的な管理のもと、適切な頻度で使用することが推奨されています。
一般的には1~4か月に1回の塗布が適切とされています。
毎日高濃度のフッ素を塗布すべきでない理由:
・過剰なフッ素摂取による「フッ素症(ふっそしょう)」のリスク
・適量で十分な効果が得られる
・フッ素は持続性があるため、過剰に塗布する必要がない
4. 毎日塗布するメリット
もし高濃度のフッ素を毎日使用した場合、理論上、次のようなメリットがあります。
✅ さらにむし歯予防効果が高まる
✅ さらに歯の表面を強化できる
✅ さらに初期むし歯(C0)の進行を防ぐ
しかし、これらのメリットは、適切な頻度で使用しても十分に得られるます。
高濃度のフッ素は、毎日塗布する必要はありません。
5. 毎日塗布するデメリット ⚠ 高濃度のフッ素を毎日塗布するのには、リスクがあります。
❌ フッ素症(歯が白く濁る症状)のリスクがある
❌ 過剰摂取により健康リスクが高まる可能性
❌ フッ素の適量を超えることで効果が低下する
特に小さなお子さまの場合、誤って大量のフッ素を摂取すると中毒症状を引き起こすことがあるため注意が必要です。
6. フッ素の正しい活用方法
高濃度のフッ素を効果的に使うためには、歯科医院で適切な頻度で塗布し、自宅ではフッ素入り歯磨き粉を使用することが理想的です。
ご自宅と歯科医院の両方がお勧めです。
【おすすめのフッ素活用法】
✅ 1~4か月ごとに歯科医院で9000ppmのフッ素を塗布
塗布した後は、30分飲食を控えて頂きたいです
✅ 毎日の歯磨きで1000~1500ppmのフッ素入り歯磨き粉を使用
歯磨き後のお水でのブクブクうがいは、1~2回にとどめましょう。頻回にうがいをすると、フッ素の効果が落ちてしまいます。
✅ フッ素洗口液(225ppm~500ppm)を併用するとさらに効果的
フッ素洗口の後は、水での洗口はなしです。夜に行って頂いて、そのまま就寝が良いでしょう。
✅ 甘いものを控え、食後の歯磨きを徹底する
甘いものは「0」にする必要はありません。
時間を決めて、メリハリをつけて食べましょう。「ダラダラ食べ」が一番むし歯になりやすいです。その間はずっと歯が溶けていることになります。
いくらフッ素をしても、むし歯の予防効果がなくなってしまいます。
7. まとめ
歯科医院で使用する高濃度のフッ素(9000ppm)は、むし歯予防に非常に効果的ですが、毎日塗布するべきではありません。
適切な頻度(1~4か月に1回)の塗布と、自宅でのフッ素入り歯磨き粉の使用を組み合わせることが、最も効果的なむし歯予防法となります。
フッ素を正しく活用し、歯を健康に保つために、ぜひ歯科医院での定期検診を受けましょう。
おおた歯科こども歯科 院長 太田貴司
(自己紹介)https://ohta-dent.com/staff.html#intyo
2025年9月1日