滋賀県守山市古高町にある歯医者、おおた歯科こども歯科の院長 歯科医師の太田貴司です。
予防・痛くなる前の治療・歯周病の治療に力を入れています。
日々の診療の中で、患者さまから「むし歯は多いけど、歯周病は心配ないと言われます。大丈夫ですか?」というご質問を受けることがあります。
また逆に、「歯周病が進んでいるけど、むし歯はほとんどありません。なぜでしょうか?」といったケースもあります。
実は、むし歯になりやすい人は歯周病になりにくく、歯周病になりやすい人はむし歯になりにくいという傾向があります。
太田貴司も日々診療をしていて、真っ二つに分かれていることを実感しています。
(歯周病も重度で、むし歯も重度という方は、とても稀なのです)
答えを先に簡単にお伝えすると「原因となる菌が違うから」です。
今回はその理由について、わかりやすくお話していきます。
目次
1.むし歯とは?歯周病とは?
2.原因となる菌の違い
3.お口の中の性質による違い
4.生活習慣の違い
5.どちらも油断は禁物です
6.家族みんなで予防を大切に
本文
1. むし歯とは?歯周病とは?
まずは、それぞれの病気について簡単におさらいします。
むし歯とは
「むし歯菌」の細菌が、糖をエサにして酸を作り、歯を溶かす病気です。
冷たい物がしみる、黒くなる、穴があくなどの症状があります。
歯周病(ししゅうびょう)とは
歯のまわりの歯ぐきや骨が、歯周病菌(ししゅうびょうきん)によって壊される病気です。
歯ぐきの腫れや出血、口臭、最終的には歯が抜けてしまいます。
どちらも、放っておくと歯を失う大きな原因になります。
2. 原因となる菌の違い
むし歯と歯周病は、違う種類の細菌が原因です。
むし歯の主な原因菌は、乳酸菌、ミュータンス菌、ビフィズス菌など多数。
歯周病の主な原因菌は、ポルフィロモナス・ジンジバリス菌、トレポネーマ・デンティコーラ、タンネラ・フォーサイシアが3大悪玉菌です。
これらの菌は、お口の中で好む環境(かんきょう)が違うのです。
たとえば、むし歯菌は酸性の環境が好きですが、歯周病菌は酸素が少ない場所を好みます。
そのため、どちらかの菌が増えやすいお口の人は、もう一方の菌があまり活動しにくいという関係があるのです。
どの細菌が感染しているか?が、「むし歯になりやすい/歯周病になりやすい」を決めます
3. お口の中の性質による違い
唾液(だえき)の性質や量も、むし歯や歯周病のなりやすさに関係しています。
唾液の量が少ないと、むし歯になりやすくなります
唾液の質が悪いと、歯ぐきが炎症を起こしやすくなります
また、むし歯になりやすい人のお口は、酸性に傾きやすい特徴があります。
一方で、歯周病になりやすい人は、お口の中が中性~アルカリ性になりやすい傾向があります。
この違いも、むし歯と歯周病のリスクの差につながっているのです。
4. 生活習慣の違い
生活習慣も、大きな要因です。
むし歯になりやすい人は、甘いものをよく食べる、間食が多い、歯みがきが不十分などの傾向があります。
こうした酸性になりやすい習慣がむし歯菌の増加につながります。
歯周病になりやすい人は、たばこを吸う、ストレスが多い、睡眠不足が続いているといった傾向が見られます。
これらは免疫力(めんえきりょく)を下げ、歯ぐきを弱くします。
つまり、それぞれの病気には違う生活習慣が関わっているというわけです。
5. どちらも油断は禁物です
「自分はむし歯ができやすいから、歯周病の心配はない」と思うかもしれません。
ですが、むし歯の治療を続けるうちに、歯周病が進行していたというケースもあります。
逆に、歯ぐきの治療に集中していたら、気づかないうちにむし歯が進んでいたということもあります。
むし歯も歯周病も、初期は痛みが出にくいため、自分では気づきにくいのです。どちらも気付いたときには抜歯、というケースがあります。
定期的な検診で、お口全体のチェックを受けることが大切です。
6. 家族みんなで予防を大切に
むし歯も歯周病も、予防が何よりのカギです。
そして、どちらも家族ぐるみで取り組むことができます。
・小さいお子さまには、仕上げみがきをしっかり
・親御さんは、定期検診と歯のクリーニングを習慣に
・高齢の方は、歯ぐきのケアと咬み合わせの確認を
・全年齢で、フッ素を(フッ素入り歯磨き剤・歯科医院でのフッ素塗布。フッ素にはむし歯菌を遠ざける効果もあります。)
おおた歯科こども歯科では、予防を通じて家族全員の健康を守ることを目指しています。
患者さまお一人おひとりの体質や生活習慣に合わせたアドバイスを行っています。
「この歯、大丈夫かな?」と少しでも気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

おおた歯科こども歯科 院長 太田貴司
(自己紹介)https://ohta-dent.com/staff.html#intyo
2025年11月17日











