滋賀県守山市古高町にある歯医者、おおた歯科こども歯科の院長 歯科医師の太田貴司です。
予防・痛くなる前の治療・歯周病の治療に力を入れています。
今回は授乳中の方に関するブログです。
「授乳中の歯科治療で麻酔をするとき、授乳はどれくらい止めた方がいいのか?」についてお伝えします。
目次
1.授乳中でも歯科治療は受けられる?
2.歯科で使用する麻酔の種類と母乳への影響
3.麻酔後、授乳を控えたほうがいい時間は?
4.授乳中の歯科治療で気をつけるべきポイント
5.麻酔以外の薬の影響は?
6.まとめ
本文
1. 授乳中でも歯科治療は受けられる?
「授乳中だけど、歯が痛い…」「治療を受けたいけど、赤ちゃんへの影響が心配」という患者さまも多いのではないでしょうか?
結論から言うと、授乳中でも歯科治療は受けられます。
私太田貴司は個人的に、積極的に治療をしていく考えです。
(説明し、同意を得ています。卒乳後の治療をご希望でしたら、それはそれで構いません。個人のお考えなので、そちらを尊重しております。)
むし歯の治療や歯周病のケアは放置すると症状が悪化するため、早めの受診と治療が大切です。
問題は「麻酔を使った治療を受けても、授乳を続けて大丈夫か?」という点です。
2. 歯科で使用する麻酔の種類と母乳への影響
歯科で使用する局所麻酔の代表的なものは、リドカイン(キシロカイン)です。この麻酔薬は、処置する部分のみに作用し、血流に取り込まれる量はごくわずかです。
太田貴司個人としては「安全である」と考えています。
リドカインは、WHO(世界保健機関)でも「授乳中に使用して問題ない薬」とされています。
麻酔成分の特徴
✅ 体内での代謝が早く、母乳への移行がほぼない (母乳にほとんど取り込まれない)
✅ 一般的な歯科治療で使用する量では、母乳への影響はほとんどない、とされています
✅ アメリカ小児科学会でも「授乳中の使用は問題なし」とされています
そのため、通常の歯科治療で使用する麻酔では、授乳を中断する必要はないと考えられます。
3. 麻酔後、授乳を控えたほうがいい時間は?
「歯科麻酔後の授乳制限は不要」とされています。
しかし、「念のために少し時間を空けたい」という患者さまもいらっしゃるかと思います。その場合は、2~3時間ほど空けてから授乳すると、さらに安心できます。
目安としての授乳スケジュール
・治療前に授乳を済ませておく
・治療後は2~3時間程度間隔を空ける(不安な場合)
・通常のリズムで授乳を続けても問題はありません
4. 授乳中の歯科治療で気をつけるべきポイント
授乳中の患者さまが歯科治療を受ける際、以下の点に注意しましょう。
① 抜歯などの大きな治療は、抗生物質や痛み止めが処方されることがあります。
薬の影響が心配な場合は、歯科医師と相談しましょう。
② ストレスを減らす:授乳中は体調が変化しやすく、ストレスがかかると母乳の出が悪くなることもあります。
リラックスして治療を受けられるように、可能ならばパートナーや家族と一緒に来院すると安心です。
③ 治療後はしっかり水分補給を:麻酔後は、少し喉が渇きやすくなることがあります。
授乳期は特に水分補給が大切なので、こまめに水分を摂るようにしましょう。
5. 麻酔以外の薬の影響は?歯科治療では、抗生物質や鎮痛剤が処方されることもあります。
✅ 安全性が高い薬
抗生剤:ペニシリン系抗生物質(アモキシシリンなど)
抗生剤:セフェム系抗生物質(セフカペンなど)
痛み止め:アセトアミノフェン(カロナール) → 授乳中でも使用可能な解熱鎮痛剤
✅ 避けたほうがいい薬
痛み止め:アスピリン → 母乳を介して赤ちゃんに影響が出る可能性あり
痛み止め:NSAIDs(ロキソプロフェンなど) → 一部の薬は母乳に移行するため、医師と相談
授乳中に薬を服用する際は、必ず**「授乳中であること」を歯科医師に伝える**ようにしましょう。
6. まとめ
授乳中の患者さまでも、歯科の局所麻酔(リドカインなど)は安全性が高く、基本的に授乳を中断する必要はありません。
しかし、不安を感じる場合は、治療後2~3時間程度授乳を控えることで、より安心して過ごすことができます。
また、抜歯や大きな処置を受ける場合は、抗生物質や鎮痛剤の使用も考慮する必要があるため、事前に歯科医師と相談することが大切です。
むし歯や歯の痛みを我慢せず、適切な治療を受けながら安心して授乳を続けましょう。
意外に遭遇するのは、麻酔をしてから「実は授乳中なんです」と教えてくださるパターンです。
遠慮されているかと存じます。しかし大切なお身体のことなので、ぜひ前もって教えて下さると嬉しいです。
おおた歯科こども歯科 院長 太田貴司
(自己紹介)https://ohta-dent.com/staff.html#intyo
2025年9月8日