滋賀県守山市の歯医者、おおた歯科こども歯科の院長太田貴司です。
顎関節という言葉を聞いたことはありますか?
「がくかんせつ」と読み、いわゆる顎(あご)のことを指します。
顎(あご)は上顎と下顎に分かれています。
上顎は頭蓋骨に固定されているため、動くことはありません。
下顎は筋肉と顎関節によって動かすことができます。
したがって私たちが食事をする際、動かしているのは下顎のみということになります。
私たちの顎の仕組みは、手足の関節と同じような仕組みをしています。
上顎と下顎が接している部分は凸凹しており、間に関節円板(かんせつえんばん)があります。
関節円板は薄い軟骨でできており、まるでディスクの様な形をしています。
ドアで言う「蝶番」の役割を果たしており、骨同士がこすれ合って擦り減らないようもしています。
手を添えて実際に顎を動かしてみることでその動きを感じることができます。
私たちの顎と、犬や猫の顎は一見同じもののように思えます。
しかし実は、私たちの顎関節と彼らの顎関節の動きは、その可動域にかなり違う動きをします。
犬や猫は「咬む」という動作しか行うことができません。
「咬む」ことは、“上下”の運動だけで済みます。
しかし、私たちは上下・前後・左右・斜めなど、様々な方向で顎関節を動かすことができます。
これが、人間と犬・猫の顎関節の違いです。
複雑に動くがゆえに、人間の顎に起こりやすい不具合もあります。
一番身近なものは「顎が外れた」という症状です。
顎関節の凸凹部分で、出っ張った部分がくぼんだ部分に引っかかって(凹より凸が前に出てしまって)動かなくなってしまった状態です。
大あくびをした後、顎が閉じなくなってしまうなど、非常に困った症状です。
経験したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
最近は「顎関節症」と言われる症状を患う方も増えています。
顎関節症とは、例えば口を開け閉めする際に、
・顎関節から音がする(ガクガク、ポキポキなど)
・口の開閉がしにくい
・顎を動かすと痛い
これらの症状に一つでも当てはまれば、顎関節症と診断されます。
顎関節症になる原因は様々です。
例えば、
・使い方の問題(頬杖をつく、食いしばりや歯ぎしり、爪を噛む、大きなあくび)
・虫歯の放置などで、かみ合わせが悪くなっている
・歯の治療後の被せものが外れたのに、そのまま放置している
・入れ歯が合っていない
・顎の骨の形そのものが悪い
など、原因になる要素は数多くあります。
昔は親知らずが原因ともいわれていたようですが、現在ではあまり認知されていません。
そして肝心の顎関節症の治療ですが、昔は大手術がメインでした。
しかし現在は、できる限り安静にする、が第一とされています。
なぜならば、顎関節症の原因と考えられるものとして、顎の使い過ぎや筋肉痛によるものが一番多いとされているからです。
治療の際は安静に、顎を大きく動かすことは避けましょう。
治療にはなりませんが、マウスピースを就寝中にはめることも効果的です。
マウスピースを使う際には市販品でなく、自分の歯列の型をとったオーダーメイド品を使うようにしましょう。
マウスピースは食いしばりや歯ぎしりの治療にも使われていますので、顎関節症だけでなく、歯そのものの負担も減らすことができます。
2018年12月12日