歯科治療における「ファイル」とは、根管治療(こんかんちりょう)に使われる道具です。
根管とは、歯の内部にある神経の通り筋のことです。
歯は、丸ごと「歯」ではなく、内部が空洞になっています。
例えるなら「ちくわ」です。
中は空洞になっていて、その空洞に神経(歯髄)が入っています。
むし歯でズキズキ痛いときは、「神経を取る」治療になることが多いです。
別の表現で「神経を抜く」とも言われます。
たまに、「歯を抜くのですか?」と質問を受けますが、歯そのものを抜くわけではありません。
歯の内部にある「神経」だけ抜きます。
私は、「歯を抜かれる」と誤解されがちなので、「神経を抜きます」とは言いません。
「神経を取る治療をします」と言うことが多いです。
どちらにしても、イメージが付かない治療ですね。
歯の内部の空洞は細いため、ファイルという「ヤスリ」みたいな道具を使います。
ヤスリを使って、掻き上げて神経の治療をします。
また神経の治療を受けた後、再治療になる場合があります。その際もファイルを使います。
さて、このファイル。用途は同じですが、2種類あります。
ステンレスファイルとニッケルチタンファイルです。
①ステンレスファイル
以前、主流だったファイルです。
種類が多く、様々な根管に対応できます。
しかし、根が曲がった根管には不向きの場合があります。
使用する歯科医師によって、仕上がりがバラバラになりがちです。
②ニッケルチタンファイル
ステンレスファイルに比べ、柔軟なので根が曲がった根管に向いています。
各メーカーから様々なニッケルチタンファイルが発売され、どんどん進化しています。
種類が少ないため、ステンレスファイルの方が向いている場合があります。
専用のモーターを使って仕上げるため、使用する歯科医師によるバラツキが少ないです。
ステンレスファイル、ニッケルチタンファイルとも長さに種類があります。
前歯は根管が長いため、長いファイルを使います。
奥歯は根管が短いため、短いファイルを使います。
乳歯は根管が短いため、短いファイルを使います。
ファイルで根管を仕上げ、ばい菌を除去したあと、根管充填をします。
空洞になった根管を埋めて、再度ばい菌が入らないようにします。
その後は、詰め物をしたり、被せ物をして完了です。
ファイルを使うということは、すでに歯が大きく損傷している証拠です。
初期のむし歯であれば、ファイルを使うことなく詰め物をして完了です。
ファイルは常に進化していますが、ここに至るまでの治療を受けて頂きたいです。
2018年8月22日