癒合歯(ゆごうし)と呼びます。
本来、独立して生えてくるはずだった2本の歯が、くっついて生えてきてしまったものを言います。
乳歯の前歯に多く見られ、それほど珍しいものではありません。
下の前歯(乳歯)の1番目と2番目、下の前歯(乳歯)の2番目と3番目がくっついてしまった癒合歯がほとんどです。
上の乳歯同士がくっついてしまった癒合歯も見られます。
永久歯では、ほとんど見られません。
乳歯が癒合歯だったので、永久歯も癒合歯ということも、ほぼほぼありません。
癒合歯は、独立した歯がまず生えてきて、お口の中で後からくっついてしまったわけではありません。
お母さんのおなかにいる時に、歯と歯の卵の時点でくっついてしまったと考えられますが、なぜくっついてしまったのかは分かりません。
たまたま、起こってしまったと考えられ、何が悪かったわけでもありません。
お母様が悪かったわけではないですし、お子様も悪かったわけでもありません。
本当に「たまたま」なのです。
【将来起こりえること】
①癒合歯の下に控えている大人の歯(永久歯)が1本足りないことが多い
これも何が悪かったわけではありません。
乳歯に癒合歯があると、永久歯の2番目の歯(側切歯)が生まれつき存在しないことが多いです。
約50%とされていますが、個人的に臨床現場ではもっと多いイメージです。
レントゲンで確定できます。
4歳でレントゲンで発見しようと、と6歳でレントゲンで発見しようと遅かれ早かれなのですが、早い時期に癒合歯をお伝えし、早い時期にレントゲンで確定したほうが、親様には喜ばれます。
永久歯が1本ないと、将来“空きっ歯”になり、前歯に隙間が出てくる可能性が高いです。
治療としては、
・経過観察
・白い詰め物をする
・矯正をする
などがあります。
ご本人や、親様がどこまで気にされるかにもよります。
②境目がむし歯になりやすい
くっついている部分に汚れがたまりやすく、むし歯になりやすくなります。
癒合歯の内部では、神経が複雑に絡み合っている可能性があり、治療が非常に困難になります。
毎日のブラッシング・フッ素の塗布で、むし歯にならないようにしましょう。
他の歯と同じで、むし歯の対策には、砂糖の制限も大切です。
前もって、シーラントで溝を予防的に埋める方法もあります。
むし歯になってしまったら、ぜひ早期に治療します。
早期であればコンポジットレジンによる治療で1回で完了できます。
歯に似ている詰め物ですので、目立つことはありません。
2018年3月28日