その液体は、う蝕検知液(うしょくけんちえき)です。
簡単に言うと、むし歯の部分だけ色がつく液体です。
「え?むし歯ってレントゲンや見た目で分からないの?」と思われるかもしれません。
答えは、「はい。レントゲンや見た目だけでは分かりません」です。
一般的なイメージは、「むし歯=黒い」ではないでしょうか?
そのため、すぐに分かるのでは?と思われるでしょう。
むし歯には、黒いむし歯と白いむし歯(黒くならないむし歯)があります。
黒いむし歯は、進行が遅いむし歯です。あるいは、進行が止まったむし歯です。
黒いので、いかにも「むし歯!!」なのですが、そこまで怖くはありません。
患者さんが気付かれるむし歯は、この黒いむし歯です。
対して、白いむし歯(黒くならないむし歯)は怖いです。
黒くなる時間もなく、一気にむし歯が進行してしまうからです。
むし歯の進行が早くて、黒くなる暇がないのです。
黒くないので詰め物が取れただけと思っていたのが、実はむし歯になっていて、いつの間にかどんどん進行。
やがて痛くなり、神経の治療が必要になってしまうこともあります。
この齲蝕検知液は、赤色と青色があります。
使い方。
明らかにむし歯の部分はおおかた取り除き、その後怪しい部分を齲蝕検知液で染めます。
水で流すと、むし歯でない部分は流され、むし歯の部分だけ色が残ります。
(赤くなったり、青くなったり)
その部分を削り、染めて削り、染めて削り、を繰り返します。
色が染まらなくなったり、薄くなると「むし歯を全部取りきった」となります。
この色がいくら削っても染まり続けると、歯科医師は「神経が見えてくるんじゃないか」と焦ります。
歯科医師の“あるある”かもしれません。
レントゲンにて、ある程度のむし歯の大きさは分かります。
しかし、むし歯がどの範囲でどれくらい深いかは、実際に見てみないと分からないのです。
白い材料(コンポジットレジン)で1回で終える予定だったのが、型を採る銀歯(インレー)になってしまったり、神経が露出してしまい、神経を取らないといけない事態になるかもしれません。
赤色や青色はメーカーの違いだったり、使う歯科医師の好みでも分かれます。
そのメーカーの指定で、使い方も異なります。
“色が完全に染まらなくなるまで削ってください”と謳うメーカーもありますし、“ごく薄くなったら
完了です”と謳うメーカーもあります。
その液体がどこまで深く染まるかで、基準も変わります。
齲蝕検知液で、「削りすぎ」や「むし歯の取り残し」を防ぎましょう。
2018年3月7日