お薬だけで、手強い歯周病は治る??
最近はありませんが、一時「お薬を飲んで、歯周病を治す」がブームになった時がありました。
お薬を飲めば、歯周病の菌を抑えることができる、というものです。
さて、どうなのでしょうか?
答えは「治りません」です。
お薬を飲むだけで歯周病が治るのであれば、これだけ歯周病で苦しんでいる人は全て救われます。
(成人の80%以上が歯周病にかかっています。人類で最もかかっている病気として、歯周病がギネスブックの載っています)
お薬だけで治るのであれば、歯みがきも必要ありません。
歯間ブラシ、フロスも必要がありません。
歯周病で抜歯することもなくなるし、入れ歯も不要になってしまいます。
ブリッジ、インプラントも不要です。
まるで夢のようです。
日本の歯科医療は、まだ発展途上です。
先進国の中でも遅れています。
それでも徐々には進化しています。
なのに、歯周病は一向に減らない。
それは、「歯周病は慢性疾患であり、完治することはない」からです。
初期を除いて、治ることはないのです。
病気なら、治療をすれば治る、ではないのです。
そこが、歯周病が厄介で手強い理由なのです。
歯周病は、生活習慣病の位置付けられます。
生活習慣病の代表的なものは、高血圧と糖尿病です。
この高血圧と糖尿病も、生活習慣が原因です。
運動不足、塩分過剰、砂糖の摂り過ぎ、飲酒、喫煙、ストレスなど。
生まれもったものではなく、毎日の間違った生活から発生するものです。
生活習慣としての歯周病を当てはめると・・・・
歯みがき不足、歯石の放置、食生活の乱れ、砂糖、睡眠不足、栄養不足。
原因が似ています。
なので、この生活習慣を改善しないと、いくらどんなお薬を飲んでも改善しないのです。
補助的にお薬を使うことはあります。
歯周病菌に効くお薬を飲んでから歯石のお掃除や、歯周病の炎症に効く歯磨き剤を使ってもらったり。
あるにはあるのですが、「お薬を飲んで頂ければ、歯周病は改善しますよ」とは言えません。
そして、歯周病の怖いところは、「全体的に進行すること」です。
「この歯1本だけ歯周病で、他の歯は健康」ということはありません。
例えば、「右下の歯ぐきが腫れました。歯周病だと思います」と来院された方。
そのような方は、たまたま右下だけであって、他も歯周病になっています。
その歯が残るのであれば、知らず知らずのうちに抜歯寸前で腫れるより、早いうちに晴れた方が良かったのではないでしょうか?
飲み薬に頼るのではなく、生活習慣を見直して、歯周病に立ち向かっていきましょう。
2018年2月14日