「乳歯が抜けていないのに、後ろから永久歯が生えてきました。これって大丈夫ですか?永久歯が悪くなりませんか?」
よくあるお問い合わせです。
多くは、下の前歯です。
たまに上の前歯でもあります。
これは、「二重歯列」と呼ぶことがあります。
問題は、「抜歯をするか、抜歯をしないで経過観察をするか」です。
①乳歯がグラグラしていて、何も気にならない
→経過観察で良いでしょう。そのうち抜けてしまいます。
②乳歯がグラグラしている。気になっていつも触ってしまう。
→ご本人、親様とご相談します。抜歯をした方がいいかもしれません。
③乳歯がグラグラしている。痛い。
→抜いた方が良いでしょう。
④乳歯が全然グラグラしていない。
→親様と相談の上、抜いた方がいいかもしれません。
正常とは異なる位置に永久歯があるかもしれません。
いずれも、レントゲン撮影をして、現在の状態を確認しましょう。
大きくグラグラしていて、今すぐでも抜けそうな場合は、麻酔の注射をせず、塗るだけの表面麻酔だけで抜けるかもしれません。
「麻酔の注射をして、2~3時間痺れるが痛くない抜歯」
と
「表面麻酔なので、完全に無痛は得られない。抜歯の時に多少痛いかもしれない。ただ、注射の痛みがなく、痺れている時間も数分。」
悩まれる方も多いですが、どちらを選ぶかですね。
通常、麻酔液の中には止血剤が含まれています。
後者の表面麻酔だけの抜歯は、出血が多いかもしれません。
それもガーゼを咬んで頂き、安静にしていれば止まるものです。
当日は、激しい運動・長時間の入浴は控えるようにしましょう。
全くグラグラしていない場合は、通常の麻酔をして抜歯をしましょう。
さて、抜歯後はどうなるのでしょうか?
スペースさえあれば、舌の力で前歯を押すので、自然と正常な位置に移動します。
それは無意識なので、特にお子様への指示は必要ありません。
また、唇の力もあるので、前に出ることもありません。
もし、出過ぎてしまったのであれば、悪習癖が原因かもしれません。
今述べたばかりですが、あくまでも「スペースがあること」が前提です。
スペースがないと、隣の歯にぶつかってデコボコの歯並びになってしまうかもしれません。
もう一つ多い質問が、「今歯を抜く、抜かないが、将来の歯並びに影響するのか?」です。
今後の奥歯の歯並びまで予想することは困難ではあります。
が、2重歯列になった乳歯を今抜いても、数か月後に自然に抜けたとしても、何も違いはないのでしょうか?
2018年1月10日