滋賀県守山市古高町にある歯医者、おおた歯科こども歯科の院長 歯科医師の太田貴司です。
予防・痛くなる前の治療・歯周病の治療に力を入れています。
今回は、歯の構造についてお話します。
むし歯や歯周病を予防するには、歯がどのようにできているかを知っておくことでより理解を深めることができます。
- 歯は何からできている?
歯は大きく分けて4つの組織からできています。
エナメル質、セメント質、象牙質、歯髄(しずい)です。これらを詳しくみていきましょう。
・エナメル質
歯の一番の表面を覆っている硬い組織です。
人間の体で最も硬いともいわれています。
厚さはおおよそ2~3mmで、色は半透明をしています。
エナメル質の97%はハイドロキシアパタイトという無機質(ミネラル)の成分からできており、残りは水分と有機質です。
酸に弱いという特性をもち、酸に触れると溶け出してしまいます。
エナメル質ではミネラルが溶け出す「脱灰」と、溶け出したミネラルを修復する「再石灰化」が日々繰り返されていますが、様々な要因により脱灰が再石灰化を上回るとむし歯になります。
・セメント質
歯の根の表面を覆っている組織です。
歯根膜によって歯を支える骨(歯槽骨)と結びついています。人の骨と同じくらいの硬さです。無機質が60%、有機質が25%、水分15%からできています。
・象牙質
エナメル質の内側にあり、歯の形をつくっています。
無機質が70%、残りは有機質などでできています。
エナメル質より柔らかいため、エナメル質が衝撃を受けても象牙質の持つ弾力性や柔軟性によって歯が折れるのを防ぐことができます。
エナメル質よりも酸に弱い性質をもちます。
やや黄色味を帯びており、この色がエナメル質から透けて見えることで歯の色が決まります。象牙質の色は加齢とともに黄色味が濃くなるので、歯の色も黄色っぽくなったように感じることがあります。
・歯髄
歯の神経とも呼ばれる組織ですが、実際には神経のほかに血管やリンパ管も通っています。歯の中心部に位置し、象牙質に囲まれた「歯髄腔」という空洞の中にあります。歯髄の80%は水分で、残りの20%が有機質です。歯が受ける様々な刺激を、人の中枢に伝達する働きをもちます。歯髄がむし歯や外傷などにより壊死してしまうと、歯髄が腐敗して歯に色素が浸透し、歯そのものの色が変色して見えることがあります。
- 歯の周りには何がある?
歯の周りの歯ぐきなどを総称して「歯周組織」といいます。歯を支える役割をする歯周組織は、次のようなものから成り立っています。
・歯根膜
セメント質と歯槽骨を結びつける組織です。繊維性の結合組織で、歯にかかる力を緩和して直接歯に力が伝わらないよう、クッションのような役割をしています。
・歯槽骨
歯を支えている顎の骨のことです。歯周病が進行すると歯槽骨にまで炎症が及び、歯槽骨を破壊(吸収)していきます。一度破壊された歯槽骨は、自然にもとに戻ることはありません。
・歯肉
所謂「歯ぐき」のことです。歯槽骨を覆っている柔らかい組織で、健康な歯肉はピンク色をしていて弾力があります。歯肉炎などにより炎症がおきると、歯肉が赤みを帯びてぶよぶよとした状態になります。
・歯肉溝
歯と歯肉の境目にある溝のことで、健康な歯肉であっても1~2mmの深さがあります。歯肉の炎症により深くなった歯肉溝を「歯周ポケット」とよび、この深さを測ることで歯周病の進行状況を把握する材料の一つになります。
今回は、歯の構造についてお話させていただきました。
少しでも皆様のお役に立てたら幸いです。
おおた歯科こども歯科 院長 太田貴司
(自己紹介)https://ohta-dent.com/staff.html#intyo
2023年7月1日