「黒いですけど、むし歯ですか?」
「学校の歯科検診で、むし歯にチェックを受けました。治療をお願いします。」
いざ診察すると、むし歯ではないことがあります。
黒いのに、むし歯ではない。
それは、サホライドというお薬が塗ってあります。
「フッ化次アンミン銀」という成分が歯を黒くさせます。
その効果は、
・初期う蝕の進行抑制 (むし歯にさせない)
・二次う蝕の抑制 (再度のむし歯を抑える) ・象牙質知覚過敏症の抑制 (“しみる”を抑える)
があります。
特長として(メーカーより)
・銀による蛋白固定、フッ化物による不溶性塩の生成により、象牙細管を閉塞し、う蝕の進行や象牙質知覚過敏を抑制します。
・治療が困難な小児、来院の難しい高齢者の方におすすめします。
・支台歯に塗布し二次う蝕の抑制に。
と記載されています。
できるだけ分かりやすく変換します。
→・銀が、むし歯の進行道路をふさぎます。
道路をふさぐことで、むし歯が進行しないようにします。
道路をふさぐことで、“しみる”を抑えます。
→・泣いたり暴れたりで、治療ができないお子様におすすめします。
歯科医院に通院できない方にお勧めします。
→・歯を削ると、そこからむし歯の再発がしやすいです。
削った面からむし歯も再発を防ぎます。
です。
メリットもたくさんがありますが、唯一の欠点が「歯が黒くなる」です。
そのため、他に治療の選択肢がない場合に使うことが多いです。
一番多いのは、乳歯のむし歯に対してです。
本来は、「むし歯を取りきって、きれいに詰め物をしたい」けど、4歳のお子様で泣いて暴れる。
詰め物をするどころか、むし歯をきれいに取れきれない場合。
サホライドをむし歯の部分に塗ります。
その部分は、すぐに黒くなりますがひとまずは安心です。
その後は、食生活に気を付け、歯磨きを心がけて、経過観察です。
数年後、その子が大きくなり上手に治療できるようになったら、サホライドの上に白い詰め物をしてもいいかもしれません。
サホライドの黒さは見えるかもしれませんが、いく分はきれいになるでしょう。
サホライドはずっと昔からあるのですが、今でも廃れずに使われているということは、優秀なお薬だからです。(コンビニの商品が頻繁にコロコロ変わるのと同じように、歯科の材料も次から次へと新発売されています。サホライドのように生き残っている商品は少ないです)
歯科医師も、症状や年齢で使い分けており、今もサホライドを使っています。
2018年8月1日